第6回|北陸3県【活動紹介】親と子のリレーションシップほくりく

これまでのインタビューでは、親の会、居場所・カフェなど、実際に集まったりお話ができる場をご紹介してきました。

今回は、それとは全く違う「繋がる」ということをメインに活動する「親と子のリレーションシップほくりく」さん(以下リレほく)をご紹介します!

リレーションシップとは「人と人との関係、結びつき」といった意味があります。

 「親と子のリレーションシップ」とは、まさに親子の関係、結びつきを育み合う、そんな意味合いがあるのかなと思います。
 リレほくの活動・目的は団体詳細ページでは「子どもの権利条約を基本精神として共有しあい、毎年秋に各県持ち回りで大会を開催する他、4月には加盟各団体の活動から学び合っています。また、北陸3県がつながり合うことで、互いの講師派遣や地元で話しにくいという声などにも迅速に応えること。」と紹介されています。

「子どもの権利条約」とは

ところで、「子どもの権利条約」はみなさんご存知でしょうか?

リレほくの活動の基本精神とのことですが、あまり聴き慣れない方もいるのではないでしょうか。

日本ユニセフ協会ホームページでは以下のように説明されています。

「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。 18歳未満の児童(子ども)を権利をもつ主体と位置づけ、おとなと同様ひとりの人間としての人権を認めるとともに、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定めています。

公益財団法人 日本ユニセフ協会 – 子どもの権利条約

「子どもの権利条約」子どもの権利は大きく分けて4つ

  • 生きる権利 – すべての子どもの命が守られること
  • 育つ権利 – もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療や教育、生活への支援などを受け、友達と遊んだりすること
  • 守られる権利 – 暴力や搾取、有害な労働などから守られること
  • 参加する権利 – 自由に意見を表したり、団体を作ったりできること

リレほくはこうした権利条約を踏まえて、北陸3県で活動する団体が連携し合うネットワークということになります。

まさに、これまでインタビューを受けてくださったみなさんの活動を、さらに繋げ合うような活動と言えるのではないしょうか。
そして、今年で10周年の記念大会を石川県で行う予定となっています。

今回は、長年リレほくの事務局で中心的な活動をしており、よりそうなかまでは「非行と向き合う親の会(みちくさの会)」での活動も行っていらっしゃる、徳井さんにお話をお聞きしました!

北陸3県のネットワーク団体ができたきっかけは?

北陸3県をまたいだ活動が10年間続き、現在は30団体を超えるネットワークになったとのことですが、こうした支援団体を集めたネットワークができたきっかけはなんだったんでしょうか?

スタッフN

北陸3県の団体がたくさん集まっているリレほくは、どういった経緯でスタートしたんですか?

徳井さん

ひとつのきっかけは「子どもの権利条約フォーラムinとやま2009年」というイベントで、大会の実行委員長をされていた明橋大二さんからみちくさの会も団体紹介のパネル出さない?」って紹介してもらって、それで会場へ行きました。

行ったらほとんど富山の団体で、祭りの屋台が両サイド並んでるみたいにたくさんパネルが並んでいて、全部で20団体くらいあったかな「こんなに子どもに関わる団体ってあるんや」と思って。

ほんで、近くの人に「帰る前に一回みんな何してるかくらい、ちょっと話できない?」って聞いたら、急な話だし、帰られてしまって、仕方ないなあと思って、それが2009年の11月。

スタッフN

たしかに、大きなイベントは参加してそれで終わることが多いので「繋がる」という意味ではあまりなかったかもしれませんね。準備と撤収でばたばたしがちですよね、経験があります。

徳井さん

それから1週間後に山代温泉で2009年地域民主教育全国交流研究会石川集会というのがあって、金森俊朗さんとかが記念講演されていて、地元からもいくつか団体が招待されて、話をさせてもらう機会があって。

そしたらそこで配られたんですよ。千葉の「不登校親子ネット」という冊子、民間が作っているんです。

そのイメージで、これってなんか繋がったらいいんじゃないかって。そこでリレほくのイメージができた。

2009年にこういうことが立て続けにあって、だったらちょっと考えてみようかっていって、2010年に数団体に声をかけて設立の準備を開始した。

スタッフN

冊子というのは、いろいろな支援団体や情報が載っていて無料で配られるもののことですね。

リレほくも北陸3県の加盟団体一覧を印刷して配布していますね。

徳井さん

インターネット見れば不登校の会とかって検索したらなんぼでも出るんだろうけど、ネットの情報だけじゃ紹介できないから、せめて年に1回くらいお互いに顔合わせばお互いに紹介しあえるんじゃないかって。

発足当初から富山のお母さんたちがみちくさの会に来てたんです、地元で喋りにくいっていうのは当然あるから、同じような団体が3県繋がっていればどこか行ける。地元じゃなくて。

スタッフN

繋がりあって「世の中を変えていくんだ!」みたいな強い思いで始まったというより、ゆるやかに繋がって話し合う場を持とうという感じですね?

徳井さん

あまりそのキメキメにせず、お互いが動きづらくなるような事は決めないで。

それぞれの活動はあるんだし。

その後年に数回、県を変えて互いの活動から学び合ってた。今は大会の他に4月に学習会みたいな会をやってる。

徳井さん

今では北陸3県の大学の先生から学生さんから弁護士さんからお医者さんから何重にもネットワークが繋がって。

子どもシェルターだって3県とも動き出したりとか、そんなこと思いもしなかったことです。

スタッフN

やはり医師の明橋さんが富山にいて、徳井さんが石川だから、まあ北陸3県でやろうとなったんですか?

徳井さん

そうじゃなくって、地元じゃ喋りにくいっていうのが最初にあってん。

親御さんは北陸3県でやればどこかに相談に行きやすいだろうって。

はじめっから、地元じゃ喋りにくいっていうのがあって、じゃあどうするって。

徳井さんは現在も私立高校の教員としてお仕事をされながら、様々な活動を行っていらっしゃいます。

そもそも、活動を始めたきっかけは?

徳井さんは長年教員としてお仕事をされながら、リレほくの事務局として中心的な役割を担ってこられましたが、もともとは非行と向き合う親たちの会(みちくさの会)としても活動をされていました。

スタッフN

長年リレほくの事務局としてご尽力されていますが、みちくさの会も含めて、なぜこうした活動をしているんですか?

徳井さん

全国で最初に「非行」の会を立ち上げたNさんに「石川にも非行と向き合う親の会って作りませんか?」って言われたんですよ。

僕は生徒指導ってほとんどやったことなくって・・・。

だからその方に言われても「まぁ考えます。」とか言っとったけど、それで帰られた後に腹ん中で「俺なんかにできるわけないやろなあー」って思って。

だけど翌年の3月のある一言がきっかけになったんです。

スタッフN

作りませんか?と言われて、簡単に始められるものでもなさそうですよね。

徳井さん

みちくさの会は18年前、2002年にスタートしたんやけど、そん時僕は教務主任っていう立場になってて、クラス担任してなかった。

それで中学3年生の学年所属してて、担任じゃないけども学年の中にある女の子がいて、非常に荒れていた。そしたら今もその後関わってくれている保護司の方がいて、その方が深夜でも彼女の家に出向いて

学校の教員は真夜中動けないですよ、なかなか。

保護司の方が深夜まで本当に動いてくださって、そしたら少し落ち着きを女の子が取り戻して、通信制高校に入学が決まった。

スタッフN

なかなか深夜まで家に出向いて関わる人は、いないですよね・・・すごいですね。

徳井さん

で卒業式が終わって保護司の方へ「ほんとにありがとう」って一言いったら、その人の次の一言で全てが始まったんです。

スタッフN

全てが始まった?!

徳井さん

何かっていうと「徳井先生は私に感謝するけど、悩んでいる親はこの学校の親だけじゃないよ」って。

「徳井先生は何するの?」って・・・言われたんです。

スタッフN

「何するの?」はガツン!とやられた感じですね・・・。

強烈な、でもハッと気づかされるような一言です。

徳井さん

「徳井先生何するの?」の一言のあと、千葉で開かれた非行の会の全国交流会に参加した。20人ぐらいの分散会でたまたま横にいたお母さんが、息子さんが暴力行為で今刑務所に入ってるって泣きながら喋る。

そしたら他の人たちが「辛いよねー」って。

みなさん一緒に涙を流して。

別に3時間喋ったからといって本人の状況も何も変わらないけど、終わってさぁ帰りますって、ふと隣のお母さんに「お元気で」って言おうと思ったら、さっきまで泣いてたお母さんの顔にちょっと笑みがあった。

あー、非行の会って何か解決してあげようとかそういうことじゃなくって、こんなふうに共感できる場があれば、それで親って元気になるんかも知れんて思って。

そんな場作るぐらいだったら俺もできるかもしれんて思ったんです。

そんでその保護司の方とか他の先生とか5人ぐらいでどうするどうするって。

その後すぐの6月、県の教育会館の集会室で発足会をもった。80人くらい集まったかな、それがみちくさの会のスタート。

教員を目指したきっかけは、大学時代にみた映画や仲間や子どもたちとの出会いなどがきっかけとのことでした。

10年を振り返ってみて

設立から10年を迎え、北陸3県の各団体が忙しいながらも繋がりあい、10周年の記念大会を迎えることになりました。

これまでも様々なテーマで各県持ち回りで大会を開いてきたとのことです。

設立最初の大会の様子。
大会はパネル展示や各団体紹介ブースがあります。
スタッフN

30団体以上が加盟していて、リレほくを取りまとめたり事務局での仕事もたくさんあると思うのですが、大変だったこととか困ったことはありましたか?

徳井さん

最初困ったのは加盟団体の冊子づくり。千葉を真似て30ページ近いものを2000部ほどだったかつくろうとした。
横向きのホッチキスでとめて、10人ほど集まってもらっても何日もかかった。
それでそのあと、今の形にした。

それと、私のダメなとこが、他の人に頼めないこと。
じゃあできるかっていうと詰まってしまって。いろいろ教えてもらって・・・

スタッフN

10年という年月は長いと思います。

何か思い出に残ってることとか、印象に残ってることはありましたか?

DVの被害を受けた方から、「県外の弁護士を」という連絡が届き、その日のうちに対応できたこと、リレほく大会を手伝ってくれてた学生さんが保護観察官になったりと、ネットワークがあったからこそ次に繋げることができたお話がいくつもあります。

徳井さん

そして、教員以外の多くの人と出会えたこと。

例会や大会の後の飲み会も(笑)

スタッフN

みなさん楽しみにしていらっしゃるのはひしひしと感じます(笑)

どこかに楽しさがないと、続けていくことは難しいですよね。

印刷が大変とのこと・・・いつもありがとうございます!お手伝いします。

10年目の石川大会について

毎年北陸3県が持ち回りで学びや交流を行ってきた大会も、今年度で10回目が行われるとのことです。

大会のテーマは「子どもたちにとって必要な“学校”ってなに?〜子どもがワクワクできる社会をめざして〜」です。

10年の間に世の中も少しずつ変わり、生きやすくなった人もいるかもしれませんが、一方で予想もしなかった社会情勢の変化で、新しい生きづらさにぶつかっている方もいるのではないでしょうか。
そんな難しい時代ではありますが、この大会を通して何を発信したいか、何が狙いかお伺いしました。

スタッフN

今年は10周年記念でもあるリレほく石川大会があります。
メインイベントの記念講演はなぜ世田谷区立桜丘中学校の元校長先生なんでしょうか?

徳井さん

きっかけはネットで「校則のない学校」という文字を目にし、本を読み感動、実行委員会で紹介し・・・なんですが。
なんといってもTVで見た世田谷区立桜丘学校の子どもたちの表情。

教育相談担当してたら、教室に入れない子って相談室とかどっかに隠れるようにいます。

あんな廊下を大手を振って歩いている子なんて絶対あり得ないですよね。

だからほんっとに子どもらが大事にされとるなって。
一人一人自分らしく生きていて良いんだって・・・。

スタッフN

みんなイキイキとしているように思えましたね!

徳井さん

そもそも校長先生が生徒総会で「何を決めても良い」って、「君たちの決めたことには学校上げて全力あげて実現のために努力する」ってそんなこと言えないですよ普通。

スタッフN

桜丘中学校は公立の中学校ですもんね・・・普通できないですよね。

徳井さん

だけど全幅の信頼を学校の教師たちが子どもに出した時に、子どもってまともに、なんというか、応えようとするというか、みんな大人だと思った。

ほんとに成長してると思うし。

そこから学べることっていうのは、学校の関係者もそうだろうし、親としても、学ぶことっていっぱいあるんじゃないかなぁ。

スタッフN

ほんとにいろんな方に来て欲しいですね!

今回も石川大会は白山市教育委員会が共催で、石川県も後援です。

難しい社会情勢ですが、宣伝は進んでいますか?

徳井さん

チラシは白山市はもちろん津幡・内灘・金沢・野々市・加賀・羽咋・能美の全小・中学校など多くの市や町で配布できました。

スタッフN

まだまだ宣伝して、機会があれば是非能登や加賀など、石川県中から来て欲しいですね!
最後に、このイベントを通して社会に対して発信したいこと、言いたいこととか、リレほくを通して発信したいことなどありますか?

徳井さん

ベースはリレーションシップ

そういう意味では白山市が教育委員会共催って2回続けてやってくれて、やっぱ行政が一緒にやろうって言ってくれてるってのは、ほんとにありがたいし、立場を超えて、子どもを真ん中にしたネットワークっていうのを、どれだけ広くなっても作りたい。

活動を通して繋ぐ、新たな一手に

「生きづらさ」といっても、その中身はとても多様で、一つの団体や一人が頑張っただけですべてが解決するとは、なかなか思いませんよね。

そうしたときに「こうした悩みならあの団体がいい」とか、「この人だったらあの人が同じような経験をしていて何かヒントがありそう」とか、次に繋げたりすることができるような情報がたくさんいいなと思います。

リレほくが広域で活動する重要な視点として「悩んでいる人が地元ではなかなか思ったことを相談できない」という二次的な困りごとに注目していることだと思います。
誰かに話したい、けど知られても困る、恥ずかしい。些細な悩みに思える方もいるかもしれませんが、やはりその悩んでいる本人の主観、何を感じて何に悩んでいるかからスタートしなければ、それはただの支援者のエゴ、傲慢にしかならないのではないでしょうか。
悩みを相談したいけれど、相談できない。相談したくないのではなく、相談したくてもできないような環境が存在することをまずは理解する必要があります。

目の前の生きづらさを解決する前に、それを阻むたくさんの二次的な困りごとがある。
だからこそ生きづらさや悩みを抱える人が、参加したくなるような工夫や話したくなるような環境づくりは無視できない非常に重要な要素であり、広域連携はまさにそうした環境づくりの活動なのだと思いました。


人と人との相性、団体や集まりとの相性は必ず存在すると思います。
また、悩んでいる人もサポートする側も、時間の経過や状況の変化があるものです。
活動が停滞する時期には、少し新しい風を入れ、動けない本人がいる場合は、周りの家族や関われる人が新たな一歩を模索することが大事と言われます。
生きづらさをサポートする側も、ときには心が疲れたり悩んだり苦しんだりする事があります。そうした時に、同じような仲間が頑張っていることや、支援者が支援者に相談したり、アドバイスをし合うような関係作りに、リレほくのようなネットワークが機能するのではないでしょうか。

リレほくは「よりそうなかま」とちょっと似た部分があるかもしれませんが、金沢市を中心とした市町のネットワークと北陸3県を繋ぐネットワークが相互に関わり合うような繋がりはとても頼もしいなと思いました。

(文と写真:ワンネススクール 中村)


親との子のリレーションシップほくりく

目的・大切にしていること  「自己肯定感の低さに苦悶し生きづらさをあらゆる形で表出し続けている子どもたちと、子育てに悩む家族の気持ちに寄り添い、子どもの健やかな育ちのために、北陸で多様な活動を展開する多くの人達とつながりあい、お互いの情報を共有し支援しあうことを目的とする(規約第1条)」として、2011年6月、北陸三県の子育てに関わる団体がゆるやかにつながり合おうと発足(代表は、心療内科医師:明橋大二/加盟団体数は現在31)。
活動内容・対象  子どもの権利条約を基本精神として共有しあい、毎年秋に各県持ち回りで大会を開催する他、4月には加盟各団体の活動から学び合っています。また、北陸三県がつながり合うことで、互いの講師派遣や地元で話しにくいという声などにも迅速に応えることが可能になりました。
例会会場・日時等
連絡先・代表者名 三県事務局長:徳井久康:090-9444-9422
ホームページ:https://relationshiphokuri.wixsite.com/official

「親と子のリレーションシップほくりく」のロゴマーク
シンボルマークは、小さな花が集まって咲くアガパンサス

この記事を書いた人

NPO法人ワンネススクール

NPO法人ワンネススクール

1999年からフリースクールを運営する「今を生きるための学び舎」ワンネススクールです。フリースクールや、野外体験活動、高卒資格取得、就労準備支援、シェアハウスや親の会など多岐にわたる活動を行っています。
大人も子どもも活き活きと日々を過ごせるように雑木林的な環境で楽しく過ごしています。