第8回|親の会【体験&インタビュー】KHJ全国ひきこもり家族会連合会・北陸会

スタッフN

今回のインタビューは、「Chat seeds(チャットシーズ)」の木村佳代子さんがお話を聞いてきてくださいました!
Chat seedsは学齢期の子供達の可能性の種を支え育まれるよう、保護者や支援者が繋がって明るく安心して語れる会を白山市で開催されています。

今までとは違った視点、感じ方で親の会の体験とインタビューをお送りします!

親の会に行ってみました!

今回のインタビューは、長年金沢市で、ひきこもりの子を持つ親の悩みを話し合い、分かち合い、支え合う会として活動されている『KHJ全国ひきこもり家族会連合会・北陸会』さんをご紹介します。

実は、インタビュアーである私もひきこもりの子を持つ親として、以前からとても興味があったこちらの会。

初めて参加する時はとても緊張しましたが、事前に事務局の本間さんと連絡をしてからお伺いしたので、会場で本間さんにお会いした時は、はじめからフレンドリーに接してくださり、席も隣に用意していただき、安心して参加できました。

今回の会場は、コロナ禍ということもあり、石川県女性センターの4階コンベンション室という広いお部屋で開催されました。お部屋に入ってから受付で、参加費(1家族600円)を支払い、記名しました。会議用机を大きな『ロ(ろ)』の字型に並べ、間隔をとり座りながら行われました。

女性センター外観
会場入り口の案内板

会が始まる前に事務局の本間さんが、ホワイトボードにすらすらと『参加のルール』や『内容』『支援者』を書いてくださり、初めて参加しても、『安心安全の場所だな~』と思えました。

司会の本間さんがホワイトボードの説明をしている様子

参加して私が一番驚いたのは、参加者の自己紹介や近況報告に時間制限がないことです。
参加者・支援者合わせて20人以上の自己紹介に1時間半以上かけて、1人1人じっくり丁寧にそれぞれのお話を聞いてもらえます。

もちろん、言いたくなければ言わなくていいし、話している途中で泣いてしまう参加者がいても、皆さん優しく待って下さる温かな雰囲気に私自身とても癒されました。

また、参加者もさまざまで、長年ひきこもりの子どもを持つ年配のご夫婦で参加されている方や、ひろメンタルクリニックの奥田ドクターやカウンセラー、精神保健福祉士などの支援者、ひきこもりの経験を持つ当事者であり『ひきこもりピアサポーター』(KHJ家族会連合会認定)の研修を受けられた青年など、いろいろな視点でお話を聞いていただけました。

我が子はひこもりになってまだ(⁉)2年半ですが、先輩の親御さん方のお話をお伺いし、『なるほど~』と感心したり、親としての心構えや言葉のかけ方を学んだり、家に帰って即実行できそうな生きた体験談など聞いたりと、参考になるお話ばかりでした。

私が親として感動したのは、ひきこもり経験のある当事者の言葉です。

「どうしても、ひきこもりの我が子に、自分の不安をぶつけてしまう。」

という親御さんに、

「親からグチグチと言われることが、嫌なんじゃない。自分が親を悲しませていることが一番辛い」

と言われ、私は、我が子に言われたようにハッとしました。


この言葉は、当事者だから言えることです。

親の会にひきこもり当事者が参加している意味はここにあるんだと確信しました。

終始、温かな雰囲気に包まれ、初めて参加したにもかかわらず、リラックスして聞くことができました。

長年参加されているご家族の方々とも、同じような子を持つ親同士として深く共感でき、優しく接してくださり、すぐに打ち解けることができました。

3時間はあっという間で、また次回も参加し、この優しい会の皆さんとお会いしたいと感じられました。

参加者には、季節ごとに発行される会報誌が配布されました。会報誌『KHJジャーナル たびだち第97号

お話を聞いてきました 〜KHJの歴史〜

会が終わり、会場の片付けをした後、代表の所田さんと事務局の本間さんにお話を伺いました。

木村さん

こちらの会は全国組織である『全国ひきこもり家族会連合会』の『北陸会』ということですが、それぞれホームページの発足した年が、全国の方が平成26年度から、こちらの会は平成12年12月からとかかれていました。こちらの会の方が先にあったんですか?

本間さん

名前がね!全国組織の会の名称(KHJ)が改訂されたのが、平成26年度からなんです。それまでは、『強迫性障害』『被害妄想』『人格障害』の頭文字をとって『KHJ』としてたんですが、平成26年度から『家族』『ひきこもり』『Japan』の頭文字になったんです。

木村さん

そうだったんですね~!!よかった~!『強迫障害』とか限定された方ための会だったら、私、こちらに参加することなかったと思いました。『北陸会』が発足され、今年で20年以上たちますが、こちらの会を始めたきっかけは何だったんですか?

本間さん

当時、ひきこもりのお子さんを持つ親御さんが、自分と同じ思いを持つ人とつながりたいと思い、埼玉県のKHJ本部に問い合わせたことが、きっかけになったと聞いています。

その時、本部代表の奥山さんに「北陸であなたが会を立ち上げたらいいよ」と言われ、その方の支援を得て、『KHJ 北陸会』を立ち上げた布橋さんが初代代表になったんですね。

また、当時、県の職員で医師の免許も持ってらした林先生のご協力もあったそうです。先生が県に掛け合って下さり、女性センターのお部屋を無料で使えるよう手配など、大変ご尽力いただきました。

先生は、思春期の子どもの精神的病気とかひきこもりとか不登校とかを、ご自分で何とかしたいという思いが強くあられたから、仕事以外で親の会の皆さんの話を聞いて下さったんやね。

木村さん

へ~そうなんですね…医師免許をもちながら、県の職員をされていたんですか?

本間さん

そうそう。元々医師の資格は持ってらして行政に入られて、長年仕事をしている中で、たぶん、個人的に(仕事以外で)『何とかしたい』という強い思いがあったんじゃないかなと…今は県職員を退職され、現在は、常勤の精神科医として病院に勤務されています。

木村さん

そうなんですか。

ひろメンタルクリニックの奥田宏ドクターが、発足当初から毎回来ていらっしゃいますね。

本間さん

そうですね。ドクターとして、親御さんにアドバイスしてもらっています。

親がどうあればいいのか?

木村さん

所田さんは2代目の代表としてもう長いんですか?

所田さん

もう10年以上です。

木村さん

長年、こちらの会のひきこもりの子を持つ親として参加されていた時と、代表になった時の心境の変化などありましたか?

所田さん

う~~ん…代表をどうすればいいかというのが頭にあるだけで、親としてどうすればいいのかは、会員の時と変わらずずっと分からんねぇ~

木村さん

そうなんですか⁉会の中で色んなお子さんのお話をお伺いして、何か影響されたこととか、逆に『ウチとは違うな~』と思うことなどなかったですか?

所田さん

いや~~そんなことはあんまり(思わない)…どの親御さんも子どもを早く動かしたいとか、子どもをどうにかしたいとか思うけど、そんな思ってもどうにもならんから~(笑)
その方の考えだし、それはそれでいい。いい。

木村さん

そうなんですね。そっかぁ…自分の子どもと比べたり、自分の考えと比べたりも?

所田さん

比べる…比べるってことしとったかもしれんね…でも分からん。比べてここはこうなっていないとか、そんなことは言わんとか、そんな行動はしないとか、思っとったかもしれんけど、そう思たかてどうにもならんから~~~そう思うけど。

木村さん

あ~~そっか。ひきこもる理由も原因も色々あるし…

所田さん

そのおうちによってねぇ…なんか全然違うっちゅう感じするから…

木村さん

所田さんは、ここでご自分の心境などをお話しすることで、スッキリして帰っていく、みたいな感じですか?

所田さん

う~~ん…あんまりすっきりしない。

木村さん

(笑笑)スッキリしないんですか⁉モヤっとした思いを抱えながら??

所田さん

なんか全然、(親として)どうすべきか、どうあればいいのかっていうことが、いつまでたっても見つからんから…それを今でも考え続けているっちゅう感じかね。

『親が元気になれば子どもも元気になる』ってわかっていても、どうすれば親が元気になるのかがなかなか理解できない。それはきっと『子どもをどう動かすか?』という思いが心を占めていたからやと…

『ひきこもりは悪い』という社会全体の雰囲気もあるかもしれんね~

木村さん

うぅ…確かに。どれだけこちらの会で気持ちが晴れても、家に帰れば『我が子がひきこもり』という状況は変わらず現実としてありますからねぇ…

所田さん

社会の偏見を変えようとか働きかけは本当は必要なんやろうけど…ちょっと自分の力及ばんから、自分の何が悪いんかとか、そこにやっぱりいってしまう。

講演会を開いて『親子の会話の大切さ』や『子を責めない』というお話をたくさん聞いても、なかなか私自身『ひきこもりはよくない』という考え方は変わらなかった。

前任の布橋代表から交代することになり、じゃんけんで負け自動的に代表になったけど、『親がどうあればいいのか?』は相変わらず分からんままやし~~~

でも、最近、親自身の自己肯定感の欠如やったんじゃないかなぁと思うようになった。

親が本当に自分のしたいことから目をそらし、その分、子どもに向きすぎているんじゃないか…と、思ったりもしますねぇ。

木村さん

なるほど!親自身の自己肯定感!!!自分の生きがい探し!!!

発想の転換ですね!動かない我が子をどうにかしようとするより、変わるなら自分ですよね!うわ~ホントに大切なことを教えていただき、ありがとうございました!

参加者には会の初めに、代表の所田さんが作られた、優しく問いかけるような文章が綴られている例会資料が配られました。

親の会で学ぶこと

木村さん

本間さんは、はじめからこちらの会に携わってらっしゃるんですか?

本間さん

そうですね。初代代表の布橋さんがスタートされた時からです。事務局を引き受けたのはおととしからですね。

木村さん

はぁあ、なるほど。その布橋さんとお知り合いになって『私もせっかくやし、手伝わせていただこう』みたいなきっかけだったんですか?

本間さん

うふふ…まあ『手伝い』というより、自分の勉強のためです。

木村さん

本間さんの個人的な思いで、ですか?

本間さん

そそそ。私は能登北部保健福祉センター珠洲地域センターで働いています。いわゆる保健所の職員なんやけど、仕事とは関係なしに、自分の思いですよね。

木村さん

そうなんですね。専門の知識も持ってらっしゃるし…支援者としての意見は言えるし、って感じですか?

本間さん

別に、自分、支援者とは思ってなくて…

木村さん

えっ⁈そうなんですか?

本間さん

思ってないんだけど~保健所にいるから。
保健所でみんな傷ついたりした人が多いの!地域の保健所や『こころ(の健康センター)』でも傷ついたり。

私たちは、それこそ何気なく言っている言葉で親御さんを傷つけたりすることが多々あるっていうことを親御さんから聞いて、教えてもらって…

じゃあ、自分もそうしないためにどうしたらいいんかな~っていうのを、(このKHJで)教えてもらっているって感じやね。

木村さん

そうなんですねぇ。素晴らしいなぁ~。

私も、相談機関で傷ついた経験あります。

そして、どうしても行政の窓口にいくのはハードルが高くて…

本間さん

高いよね!

木村さん

勇気を出していっても、それだけか?っていう対応があったり…もう、私の勇気を返してっていう(思いもあります。)

本間さん

そうだよね。電話する時から、ほんと緊張しながら『こう言いたい、あれ言わなきゃ』って電話しているんだけど、『そんな対応?』って思う人は多いと思う。

木村さん

そういう意味でもこちらのKHJさんのように、同じ様な子どもを持つ親の会はありがたいと思います。

親としての価値観〜今後について

本間さん

厳密にいえば、この会に参加している親御さんたちのお子さんがひきこもる原因は、バラバラやから。自閉症の人もおれば、書字障害の人とか、統合失調症の人がいたりと、個性バラバラじゃないですか?

でも、(親御さんが)向き合っているところは一緒よ。

回復させるって言葉は失礼かもしれないけど、彼らの今の状況・状態よりは良くさせてあげたいっていう親の思いと、本人の「オレ、今誰ともしゃべりたくない、1人でおりたい」って思いがあるわけや。

そういう家族にとっては、答えは1つじゃないし、色んな答えがある。バラバラの個性、いい意味で違いがある。

木村さん

うぅん…私もそうやけど、この会に参加して、我が子のひきこもりが解決するって、親だったら少しは思いますよね?

本間さん

期待するよね(笑)最初、たぶん、この会に来ている人は、ここ来たらお医者さんもおるし、例えば〇〇療法のようなことを「やってごらん」って言われるんじゃないかって期待してると思うの。

木村さん

あ~あ~あ~なるほど。

本間さん

でも、そういうのがない。ちょっと違うなって思う人は、ここを卒業して、ここに振り向かない。

木村さん

確かに!ここはそういう正解を求めるというよりも、親御さんが変わる場なんじゃないんかなって、参加してすごく思いました。色々あっていいし、みんなそれぞれ悩んでいるけど、それでいい!代表の所田さんでさえまだ、模索されとるっていうのを聞いて、私もまだまだ迷っていていいんだって、安心しました(笑)

本間さん

いいんです‼親だって探り探り。自分自身が親としての価値観を求める。『みんな違ってみんないい』‼

木村さん

なるほどなぁ~~こちらの会がこんなに長く続いている理由が分かったような気がします。自分とは違う価値観や意見を聞いて『それもありなんか…』を体験する場所なんですかね。

本間さん

そうですよね。自分の価値観変わりますよね。これまでの人生、順調に来た人ほど価値観は変わる。例えば、犯罪を犯してしまった人にも、そうせざるを得なかったどうしようもない境遇にあったというだけで、同じ人間。その体験を聞くことによって、働いていたら人のものを盗まなくてもすむなぁって、そんなことをね(感じたり。)
学校では教えてくれない人生の価値観や生き方が、ここでは学べます。学歴は関係ないし、頭いいに越したことはないけど。みんながみんな大谷翔平になれない!(笑)(例会内で大谷選手の素晴らしい記録の話題が出た)だから、そういう人とも比べられないしね。
100人一緒に走らなくてもいいと思うんだよねぇ

木村さん

うんうん。頑張る人は頑張ればいいし・・・

本間さん

寝とる人がおっても、座っとる人がおってもいいし(笑笑)

木村さん

(笑笑)はい。ありがとうございました。最後に所田さん、今後、どうしていきたいとかありますか?

所田さん

う~~~ん。さっきから言っているように、特別なものはないです。親が元気になればいい。どうすれば親御さんが元気になれるかを、一緒に考えていきたいです。

木村さん

はい!今日はお疲れのところ残っていただき本当にありがとうございました。

お話を伺って〜感想

ひきこもりを脱する答えは1つじゃない。

親の価値観を変える練習をするところ。

親が元気なら、子どもも嬉しい。

などなど…親としてハッとする気づきがたくさんあり、大切なこと教えていただきました。

ひきこもりの我が子がつないでくれたご縁。

今後も参加して、自分なりの答えを見つけられるように学び続けていきたいです。

(文と写真:Chat seeds 木村佳代子)

【KHJ全国ひきこもり家族会連合会・北陸会】

目的・大切にしていること 目的:
ひきこもりの子どもを持つ親の悩みを話し合い、分かち合い支え合う会であり、ひきこもりに関わる人たちの交流できる場所としている。

大切にしていること:
親ごさんがリラックスして話せて心を軽くし、元気になること。
親自身の気づきや学びを大切にし、ひきこもりを受け止め、ひきこもりの子どもの心をみて、支えられる様に助け合う。
活動内容・対象
  • 毎月定例会(親、家族、支援者の会)(守秘義務順守)で 悩みや子どもさんの様子を話し合う。
  • 体験者(子ども、親)の話を聞き、仲間、支援者と繋がる。
  • 学習会を持ち、問題点があれば気づけるようにし、情報交換をする。
  • 働く立場の支援者の話も聞く。
例会会場・日時等 石川県女性センター:毎月第1日曜日
10:30〜12:00若者会(無料)、13:00~16:00親の会
ただし、1、5月は第2日曜日 参加費:1家族600円
連絡先・代表者名 TEL&FAX:076-252-4856(代表者)
KHJ北陸会事務局:090-9760-2135
メールでのお問い合わせはこちら
ホームページ:http://khjhokuriku.work/

【Chat seeds(チャットシーズ)】
インタビュアーの木村さんはこちらの会を主催しています。

この記事を書いた人

NPO法人ワンネススクール

1999年からフリースクールを運営する「今を生きるための学び舎」ワンネススクールです。フリースクールや、野外体験活動、高卒資格取得、就労準備支援、シェアハウスや親の会など多岐にわたる活動を行っています。
大人も子どもも活き活きと日々を過ごせるように雑木林的な環境で楽しく過ごしています。