
今回は、11月9日、10日と2日間にわたって開催された「第18回KHJ全国ひきこもり家族会連合会in石川大会、実践交流研修会」についてご紹介します!
KHJは全国規模で活動している団体です。
KHJとはKazoku Hikikomori Japan(家族・ひきこもり・Japan)の頭文字から来ています。「日本で唯一の全国組織の家族会(当事者団体)」という意味だそうです。
KHJでは、ひきこもりを抱えた家族・本人が社会的に孤立しないよう、全国の家族会と連携し、行政に働きかけながら、誰もが希望を持てる社会の実現を目指しています。(HPより抜粋)
過去に3団体ともインタビューを行い、詳細な記事になっています。本ページの最下部リンクからご覧ください!

KHJの支部として石川県内では上記の3つの団体が活動しています。
「よりそうなかま」にも掲載され、県内全域で協力しながら活動していらっしゃいます!
この大会は、ひきこもりや生きづらさを抱える方々、その家族や支援者がつながり、学びや情報交換、支援の輪を広げることを目的としたもので、全国からたくさんの方が参加されました。
2024年は能登半島地震を経て、災害とひきこもりについて考えさせられる場面が多くありました。テーマもまさにそれを踏まえたもので、全国的な関心も高かったのではないでしょうか。


テーマは「つなぐ、つなげる~誰もが生きやすい共生社会のために~」
近年ひきこもりの方に関して「8050問題」として新聞やテレビでも話題を耳にする機会が増えてきましたが、能登半島地震ではそうした方々も避難をせざるを得ない状況でした。
大会のテーマは「誰もが生きやすい共生社会のために」と題し、ひきこもりだけではなく、不登校や当事者の避難支援、また多様な生き方・社会参加など、様々な視点からシンポジウムや分科会が行われました。
また全国大会でもあるため、石川県知事や各市町の議会議長、議員も来場されており社会的な問題として多くの方が関心を持たれていると感じました。
会場の石川県文教会館は多くの席が埋まり、ロビーでは支援者や関係者が販売展示コーナーや能登半島地震の現地写真をパネル展示したりと、活気のあるスタートでした。



基調講演、シンポジウム(1日目)
基調講演は金沢工業大学大学院心理科学研究科教授で医学博士でもあり、長年KHJ北陸会の顧問もされている奥田宏先生が「KHJ北陸会にかかわって~当事者と支援者の協動」と題してお話をしてくださいました。
当事者と支援者が共に関わる「協働」(共に働く)ではなく、「協動」(共に動く)ことの大切さをお話しされていました。

シンポジウムでは、「つなぐ、つなげる ~誰もが生きやすい共生社会のために~」と題して8名の方がそれぞれのテーマについてお話してくださいました。その後全員がステージに登場し、質疑応答などにぎやかなシンポジウムとなりました。
当事者として珠洲市在住で長くひきこもり状態だった石尾さんの壮絶な震災体験とその後の素晴らしい活躍など、行政から民間支援団体、当事者、当事者家族まで登場する非常に幅の広い内容でした。
【シンポジウムの内容】
座 長 本間 雅代さん(KHJ北陸会 事務局長)
1.厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課 課長補佐 吉川貴士さん
2.金沢市元町福祉健康センター保健師 石田明子さん
3.NPO法人ワンネススクール 中村 こうたろうさん
4.能登ひきこもり地域支援センター 支援コーディネーター 多木和也さん
5.コミュニティハウスひとのま 宮田 隼さん
6.KHJ北陸会ピアサポーター 石尾大輔さん
7.NPO法人KHJはぁとぴあ21理事長 高和 正純さん
8.KHJ本部理事長 山本洋見さん


分科会(2日目)
2日目の各分科会は全国から支援者や当事者、当事者家族などさまざまな方が集まり、それぞれのテーマについて学ぶ時間となっていました。
テーマでもある「つながっていく」こと、その大切さと難しさ、またその中に支援者や当事者など線引きをせずに「社会」という大きな器で様々な方が関わり合っていく、そうした視点の分科会が多かった気がします。
家族や当事者だけで生きづらさに向き合うのではなく、社会資源を頼りに支え合いながら前に進んでいくことの大切さを学ぶことができました。
【各分科会の内容】
1.8050問題と他機関連携
2.当事者のつながりづくり
3.多様な生き方、社会参加のあり方(障害の有無にかかわらず)
4.不登校とひきこもり、学校の早期対応(教育、福祉、家庭のトライアングル)
5.ひきこもり基本法を受けた活動の在り方
6.災害を生き抜くには(特別分科会)

どの分科会も社会的な問題として、みなさんが試行錯誤しながら取り組む姿が垣間見えました。
特に今回はやはり災害とひきこもり、不登校といった生きづらさを取り上げた分科会が注目されていました。



参加者された方に感想を聞いてみました!
日本各地から大勢の方が参加されており、一般参加者の他にも元当事者や当事者家族、支援者など背景の違ういろんな方にお話を聞いてみました!
たくさんの方が集まっており、いろんな「生きづらさ」に触れた気がします。
多くの方が必要だと思っていろんな活動をされていることに勇気をもらいました。
人に頼ることで傷ついたこともありましたが、諦めずつながっておくことはやはり大事だなと思いました。
金沢に住んでいますが、石川県全体もそうですが、富山・福井での活動も多く知れました。
やっぱりこうして集まって、顔を見ながら話をすると、肩の荷が少し軽くなる気がしますね。よかったです。

全国大会のシンポジウムではみなさんの前で話をするという大役をいただきました。
何を話したかわからないくらい緊張しましたが終わってから多くの方から「共感できた」「心が軽くなった」という声をいただきました。
たいへんな事もありましたが本当に開催して良かったです。これからも1人でも多くの家族が笑顔を取り戻せる活動を続けていきたいと思います。

全国大会は本間実行委員長を中心にワンチームで取り組みました!
『一人ではない』と感じてもらえる場を提供できたこと、そして参加者からの温かい言葉や笑顔に触れられたことが、私たち運営にとっても大きな励みになりました。
このつながりを大切にしながら、今後も家族の支えとなれる活動を広げていきたいと改めて感じています。
元当事者の友人と、生きづらさを感じている方々への理解を深めたいと考えて参加しました!
会では、丁寧な進行と講演を通じて、ひきこもりという問題に対する現在の取り組みや、ご家族の方々の熱い想いを知ることができました。
参加者一人ひとりの真摯な姿勢が、私たちの心に深く響きました。
また初日終了後には懇親会も開催され、KHJのスタッフや他のご家族の方々とリラックスした雰囲気の中でお話をさせていただける機会を得ることができました。
参加者の皆さんは、ひきこもりについてだけでなく、ひとりひとりが「これから自分たちにできること」についても率直に意見交換を行っていました。
この時間も、とても貴重で心温まるものであったことを、心から感謝しています。
今回の全国大会のような機会が設けられることで、誰もが気軽に情報を得られ、支援が必要な問題がより身近なものとなると思います。私たち当事者や家族だけでなく、多くの人が「一人で悩む必要はない」と感じられるような、支援の輪が広がっていくことを強く願っています。
次回のイベントもぜひぜひ参加させていただきたいと思います!




2日間に渡って行われたこともあり、宿泊されて参加している方もいらっしゃいました。
1日目の夜には懇親会も開かれ、時間をかけて交流することができました。終了後もいたるところで熱心に語り合っている姿が見れました!
最後に
今回全国大会に参加して、北陸には長年こうした支援活動をされる方が多くいらっしゃることが再認識できました。
石川県には「何かできることはないか」といった思いから自ら活動を始め、長年支援に携わる方が多くいます。
その中で生まれたつながりや関わり方のコツ、グループ運営の方法から支え合い活動まで知恵が見事に蓄積されており、とても心強いと思いました。
一方で、今まさに苦しみの中で孤立し、自分を責める本人や家族を目の当たりにします。困ったときに欲しい情報は、やはりなかなか簡単に届かないものなのだと実感しています。
今回は特に能登半島地震の影響もあり、日頃の生きづらさが災害において更に影響を与えることが浮き彫りになっています。何か起こる前に「知っておくこと」「つながっておくこと」は災害があったときの助けになるのではないか、支援や支え合いの活動はまさに防災の一面もあるのだと思いました。
日ごろ多くの方が困ってから情報を探し始めると思います。しかし、なかなか困っているその最中では本当に必要な情報は見つけにくいものです。
いつでも誰でも見れるインターネットは便利な分、その信頼性や情報量の多さに困惑することも多くあります。また、誰かに頼りたいけれど、それが誰でもいいわけではないということもあります。
支えたい人、情報を得たい人、相談したい人、それぞれがうまくつながっていくには、さまざまな手段が用意されていてそれに困ったその時に誰もがアクセスできることが大事だと思いました。
「よりそうなかま」もその一端であればいいなと思い、その輪がさらに広がればいいなと思いました!

石川県で活動するKHJの過去のインタビュー記事はこちらから!