ヒーリングコアとまり木【活動紹介】内灘町の当事者の集まり

スタッフS

今回は、内灘町を中心に活動されてる、精神疾患や発達障がいを抱える当事者のみなさんの団体「ヒーリングコアとまり木」さんをご紹介します!

内灘町は金沢市のお隣さんということもあって、金沢市内からも多くの方が訪れるようです。

どんな活動をされているか、代表の松金さんにお話を伺いました!

ヒーリングコアとまり木の活動、心のサロンの様子。

当事者の集まりを始めたきっかけ

スタッフS

当事者の集まりを始められるきっかけは何だったんでしょうか?

松金さん

もともと10年ほど前から「心のサロン」という、精神疾患を抱えるみなさんの集う場があり、6年ほど前に通院先の病院からこのサロンを紹介され、参加するようになりました。

その後、参加者のみなさんから「もう少し地域に自分たちの思いを発信したい」という意見が出たり、私と同じように悩んでいる人たちの支援であったり、カウンセリングといったことに興味があって、それなら今のサロンという形から、一歩進めて当事者の団体を作ろうということになり、立ち上がったのが「ヒーリングコアとまり木」です。

スタッフS

もともとは松金さんも参加者だったんですね。
自分から始められる行動力がすごいです!

松金さん

参加するみなさんの意見として、やはり「地域になかなか溶け込めていない」「自分たちの生きづらさの理解が得られない」といった意見が多く出ていて、そこで会を支援してくださる方の提案で、地域の公民館などで講演活動のようなことからスタートさせました。

それがきっかけで、講演会の参加者の中から「私も同じような悩みを抱えています」といった声も少しづつ寄せられるようになり、活動の輪が広がっていきました。

スタッフS

「生きづらさ」って人それぞれで、同じような悩みを誰が抱えているかなんて、少し話したくらいじゃなかなか分からないですよね。だから余計に悩み事って話しづらいです・・・。

自分だけの悩みかと思っていたけれど、意外と同じような悩みを抱えている人っているんだと思えると、少し心強いですね。

アンケートなどを行いニーズの掘り起こしも行っています。
さまざまな地域の拠点をうまく使って活動されています。

活動内容

ヒーリングコアとまり木さんは、いろいろな方の意見やアイデアから様々な取り組みをされています。
主な活動は3つの場所で開催されています。
正解や満足する意見が必ずでるとは限らないが、想いを言葉にしてホッとしてもらえる場所を目指して活動されています。

【とまり木~心のサロン~】

精神疾患や発達障がいの方の集まり。当事者や関係者などがテーマを決めないで自由に話せる場所です。
10年ほど前から開催されています。
◆会場:内灘町文化会館(内灘町社会福祉協議会)
◆日時:毎月第2・第4土曜日 14時~16時

内灘町文化会館。
開催中はのぼりが立ちます。

【とまり木ナイト】

とまり木ナイトは支援者の方の運営されてる「結カフェ」という食堂の店内を借りて開催されています。
食事やお茶をしながらお話をする、サロン形式の活動を行っています。
◆会場:結カフェ(〒920-0271 石川県河北郡内灘町鶴ケ丘3丁目1)
◆日時:最終週金曜日 18時~21時

結カフェは通り沿いにあり、アクセスしやすい場所にあります。
食事やお茶をしながらお話しができます。

【生きづらさ相談会】

生きづらさについて気軽に話せる場所として、ウエルシア薬局内灘店の一角を借りて開催しています。
◆会場:ウエルシア薬局内灘店(〒920-0274 石川県河北郡内灘町向粟崎1丁目448)
◆日時:第3日曜日 13時~15時

見印は心のサロンののぼり。
ウエルシア内灘店さんにて生きづらさ相談会。

【地域の皆さんと一緒に「生きづらさ」について考える会】

地域そのものへの発信であったり、理解の促進を図る方法を考える場として「内灘宣言、地域の生きづらさを考える会」も月に一度開かれています。
「心のサロン」のメンバーから、住まいにおいても、仕事においても、精神疾患や発達障がいの問題について、まだまだ地域の理解が得られず、とても生きづらさを感じている・・・との声が多く寄せられたことが、この「考える会」のきっかけとなっています。
 ◆会場:内灘町文化会館(内灘町社会福祉協議会)、心のサロンと同じ場所です。
 ◆日時:毎月第4水曜日 18時30分~20時30分

スタッフS

「生きづらさ相談会」は薬局の一角で開催されていますが、ドラッグストアなど馴染みのある場所で開催されていると、ふらっと参加しやすい気がします!

会場が一般のお店ですが、よく貸してくださいましたね?!

松金さん

とまり木を立ち上げた当時、どうやってこの活動を地域に広げていけばいいか悩んでいたところ、知り合いのバーのマスターさんから「いっそ、ショッピングセンターでとまり木の旗を持って、ずっと立っていたら?」と、びっくりするようなアイデアを提案をされたんです。
いっけん無茶な提案にも聞こえるアイデアでしたが、まぁ…それもありかなぁと。

とりあえず、お店に「場所を借りたい」と電話してみたんですがやはり断られてしまいました。

スタッフS

お店に聞いてみるというだけですごいです!
チャレンジされたんですね・・・・すぐに行動するところが驚異的です。

しかし断れたあと、現在の活動にどうやって繋がったんですか?

松金さん

その後、タイミングよくドラッグストアの本部から内灘町の社会福祉協議会に連絡があり、「ウエルシア薬局内灘店の方で場所を設けますから、そこで地域の方のために何か活動しませんか?」とのお話が舞い込んできて、現在の活動につながりました!

他人の悩みを聞く・・・ということ

もともと、松金さんご自身も多くの方に悩みを聞いてもらう経験を通して、たくさん救われた経験があるとのこと。

いろんな方に支えてもらった思いがあり、そういう意味では「言葉の力」というものをとても信じているし、それが今の活動の原点になっている、とのことです。

スタッフS

心のサロンや結カフェ、生きづらさを考える会など、あちこちで一般の方向けの相談窓口を設けていらっしゃいますが、多くの方の悩みであったり生きづらさの話を聞くことは、大変ではありませんか?

松金さん

確かに困っている人の悩みに寄り添うことは簡単なことではありません。

しかし、そうやってとにかくとまり木の相談窓口まで来てくれたことがうれしい。

相談者の方、ご自身が苦しみに押しつぶされる前に、こうして話をしに来てくれて、一歩踏み出してくれたことが、自分にとっても喜びなんです。

スタッフS

他人に悩み事を打ち明けたり、気持ちを話すのはとっても難しいと思います。
「それぐらいで悩むなよ」
「もっと元気出して」
「気のせいだよ」

そう言われたのを思い出します・・・そんなことを言われると一歩踏み出すことなんてできなくなります。。。

心のサロンなどで協力いただいてる結カフェ。
地域のみなさんと考える会に時々参加していただいてる臨床心理士・公認心理師でもある橋本さん。

もともと松金さん自身も、何度も入院であったり長く通院された当事者であり、そのことを通してさまざまな医師や臨床心理士さん、そして若い看護学生や研修医のみなさんとも接する機会があったようです。

そこで、なかなか他人に伝えることの難しいご自身の問題について、周囲のサポートを受けながら整理し、考えをまとめ、話を聞いてもらった経験が、同じような悩みを抱える他の相談者の方の話を聞く、今の活動にも活かされているそうです。

松金さん

入院していた時の教授の回診がある際、事前に男性看護師さんと臨床心理士の橋本さんで、病気について教授にどう伝えたらいいか、いろいろ作戦会議をして想いを言葉にしました。

自分のことばかり考えている時はとても苦しかったししんどかったんですが、逆にまわりの人の悩みに耳を傾けて、支援の活動をするようになった今の方が、よほど自分自身も楽にしてくれている気がします。

橋本さんは他でも協力してもらったりしていて、自分にとっては戦友だと思っています。

スタッフS

ご自身の体験を踏まえて、現在の活動を作っていらしたんですね。

「話を聞くこと」が多くの方の助けになっていると思います!

松金さん

「絶対この人たちを助けるんだ!!」ということまで意識していません。
そんな大きなことは自分にはできませんよ。

ただ何というか・・・困っている方、迷っている人の話をじっくり聞いてあげることで、この先その人の進む先の道に落ちててつまづきそうになる“小さな石ころ”をひとつ、ひょいっと拾ってあげることができたら、それで十分じゃないかなと思っています。

実際、相談者のみなさんの個々の問題について、松金さんがひとりで解決するというより、相談に来られた方に合わせて、専門の病院や心理士さんを紹介したり、地元の社会福祉協議会にお話を持っていくなど「つなぐこと」を大切にしている、とのことでした。

内灘での他の様々な当事者団体の活動について

最後に、このとまり木を立ち上げた当初から、松金さんと一緒に活動を支援されてきた、内灘町社会福祉協議会の藤田さんにも、少しお話を伺いました。

内灘町で行われているさまざまな集まり。
「耳の会」での手話の勉強中の様子。
いつも協力してもらってる社会福祉協議会の藤田さん。
スタッフS

内灘町は他にも活動している団体がいろいろあると伺いました。

どんな活動があるんでしょうか??

藤田さん

ヒーリングコアとまり木以外にも、視覚障がいしゃの当事者団体“アイアイの会”や、耳の不自由な方たちのグループ、発達障がいのお子さんを持つ親の会、高齢者のみなさんの会など、ひとり親世帯の会など、さまざまな団体が内灘で活動しています。

スタッフS

たくさんありますね!

内灘町だけでこれだけ活動されているのはなぜでしょうか?

藤田さん

これらの多くの集まりの発足以前は、当事者ご自身がなかなか同じような仲間と接する機会が持てないという意見が、社会福祉協議会の方にも多く寄せられていました。

なにより、どれも共通として「まわりとつながりを持ちたい」「誰かと話がしたい」との思いがありました。
そこで、まずは一人から、そして身近なとこに声をおかけして、二人、三人、と少しづつ輪が広がってきて、今のさまざまな会の発足、活動につながってきました。

スタッフS

当事者の集まりは少ないので、とても貴重だと思います。
相談したくてもなかなか気が向かないことが多いと思います。当事者の方がいると想いをわかってくれるかなと思えるので、参加しやすそうですね。

内灘町以外からも参加してもいいのでしょうか?

藤田さん

どの活動も内灘の方を中心に行われていて、一部の行政とのかかわりの深いものについては内灘の方限定だったりもします。

けれど基本的にはどれも町外からの参加者もいらっしゃるので、興味のある方はまずはご連絡ください!

現在のさまざまな活動を続けることもそうですが、加えて、もう少しこのとまり木のことをまわりのみなさんに知ってもらうために「チャリティーゴルフ」なんかもやってみたいな・・・とのことで、現在、支援者のみなさんといっしょにアイデアを練っているところだそうです。

チャリティゴルフも計画中。
様々な企画でお世話になっている公民館。
様々な方がボランティアで関わってます。

以上、時間を作っていただきお話を聞かせていただいた代表の松金さん、そして社会福祉協議会の藤田さん、本当にありがとうございました!

興味のある方は、まずお問い合わせから始めてみられてはいかがでしょうか?
金沢市のお隣さんである内灘町での活動されているヒーリングコアとまり木をご紹介しました!

連絡先、お問合せ

ヒーリングコアとまり木
代表 松金孝佳
連絡先 内灘町社会福祉協議会(担当:藤田080-7652-3400)
ホームページ: https://healing-core-tomarigi.com 

この記事を書いた人

よりそうなかま インタビューチーム

「よりそうなかま」掲載団体有志による、インタビューチームです。
相互交流、情報発信を目的として「よりそうなかま」に掲載中の団体を取材して様々な視点でご紹介していきます。